VOL.4 佐々木 由樹さん                                ㈱リンクアンドコミュニケーション 事業開発マネジャー

佐々木由樹.jpg宮 崎: 本日は、どうもありがとうございます。楽しみにしていたので、色々お話を聞かせてください。

佐々木: はい。よろしくお願いします。

宮 崎: 今は東大の大学院生なんですね。(驚)(対談は2014年2月に行ったものです。)

佐々木: そうなんです。いろいろあって(笑)

宮 崎: 経歴が面白そうなんですが、対談の前に経歴を簡単に紹介ください。

佐々木:はい!

 (以下経歴のみ紹介)

女子栄養大卒業後、同大学と共同で管理栄養士の国家試験対策プログラム(eラーニング)を立ち上げ、就職せずいきなり個人で起業。数年で会社設立。

会社設立から3年後、eラーニング事業を売却し、宿泊型ダイエット施設事業を立ち上げ、数年で2施設をオープンさせる。

2011年東日本大震災の影響を受け同事業からやむなく撤退。

20124月から東京大学大学院入学、公共健康医学を専攻し、今年3月めでたく卒業。

 (対談に戻る)

佐々木さん2.jpg宮 崎: 卒業していきなり起業ですか⁉

佐々木: 実は、ちょっと間があるのですが...。                                          私たちの頃は、卒業してから管理栄養士の試験があったのですが、合格したところ、先生から「なぜお前が受かるんだ」と驚かれて

宮 崎: へーなんで?

佐々木: あまり学校に行かないような、本当にダメダメ学生だったんです。特にその年は、合格率が悪かったせいもあって、先生から「勉強法を後輩たちに話してやってくれ」と呼ばれました。

宮 崎: どんな勉強法だったんですか?

佐々木: 以前のカリキュラムでは、例えば肝臓というテーマを扱っていても、3つくらいの教科にまたがっていたりするんです。だから、記憶に定着しにくい。なので肝臓だったら、肝臓でひとまとめにする。消化器なら消化器、循環器なら循環器とまとめていくと、キレイに3分野に整理できるのです。

宮 崎: なるほど!3つの分野ですか。

佐々木: はい。人体のことを勉強する分野と食品そのものを勉強する分野、そして法律などの環境を勉強する分野。それを元に勉強していくと効率が上がるんじゃないですかというのを提案書のカタチにして持っていったんです。すると「面白いから1年間女子栄養大学でやろう」と言ってくださって。私、就職していませんでしたから。(笑)

宮 崎: で、起業ですか?

佐々木: 実は最初、大学のバイトの身分でした。でも、その時の国家試験対策プログラム(eラーニング)の評判が良かったので、個人でネットビジネスに展開しました。結構成果が上がったので、調子に乗って次の年に会社を作ったんです。

宮 崎: おー凄い!その会社でどんなことやったんですか?

佐々木: 国家試験は毎年あるので、試験対策の収入を柱にして、あとはコンサルティングなどの単発の仕事をやってました。その後、サイトを売却し、宿泊型のダイエット施設を伊豆にオープンしたんです。そして、2年後に千葉に2号店を出しました。

宮 崎: 儲かってたんですか?

 佐々木: いえ、トントンでした。ところが2011年の3月に震災があって......。                       千葉も旭市の回りががれきだらけで、伊豆半島も電車が止まってしまって。会社として余裕があったわけではないので、それで事業としては撤退することにしました。

宮 崎: 踏ん張ることはできなかったんですか?

佐々木:電車が復活したのはゴールデンウイーク明けでしたからね。伊豆高原まで行く手段がなかったんです。  それに、精神的にもやられました。気合いが出なかった。私って、こんなに打たれ弱かったのかと思いましたね。  

 宮 崎: そっかー!結構、苦しまれたんですね。でもそれから1年後には大学院ですね。(意外と男前?)        どのような動機で?

 佐々木: 東大の研究室の先生とはずっと仲良くさせてもらっていて、いずれは本腰を入れて勉強したいなと思っていたんです。学部は医学部で、公衆健康医学を専攻しています。

 宮 崎: 具体的にどんな研究ですか?

 佐々木: 人を対象とした疫学研究ですね。                                            例えば、日本全国の塩の摂取量をきちんと把握しましょうというプロジェクトがあります。                 尿の中のナトリウム量を測定して、それを全国規模でやったんです。私の論文は、その塩の摂取量にどういう行動が関連しているかというものです。もう一つの大きなテーマとしては、実地の疫学調査と世の中にある論文を正しく科学的に読めるようにするというものがありました。

宮 崎: 世界中の論文を検索して、いろんな論文を一つのテーマで集めて、そこから推論したりするのも一つの研究なんですよね。

 佐々木: はい。実験やラットを使った研究だけが研究じゃありません。世の中には、自分で思ったことはたいていカタチになっている。だから、まず論文を読む力をつけなさい。そして、そのテーマが本当になければ研究をすべきだと教わりました。

宮 崎: そんな佐々木さんの目から見て今の管理栄養士さんとか栄養指導の課題って何ですか?

佐々木: それは、エビデンスに基づいた栄養指導ができていないんじゃないかと思うんです。             そういう意味で、管理栄養士の付加価値が低いんじゃないかと。例えば、医師や薬剤師などの人たちは、きちんとしたエビデンスレベルにあり、それが説得力を生むんだと思います。管理栄養士のエビデンスレベルを高めることができれば、もっと栄養指導による予防の大切さが世の中に認知されるんじゃないかと思うんです。

宮 崎: ただ、予防というのは難しいですよね。痛みや苦しみをなくす治療と違って。

佐々木: ええ。痛みが薬や治療で治るというのは、劇的ですからね。予防には、そこまで目に見えるものはない。だからこそエビデンスが重要になると思います。

宮 崎: そのエビデンスをどう伝えるかというのも大切だと思うのですが...

佐々木: もちろん指導という意味では、コミュニケーションというスキルは重要です。患者さんに寄り添うことも大切です。ですが、栄養指導は、しっかりとした裏付けがないといけない。医師や看護師、薬剤師と同じなんです。   管理栄養士の認知度や地位を高めるためには、エビデンスレベルを上げて、栄養指導としての仕組み化を進める必要があると思いますね。だから、これから管理栄養士になろうとしている人たちには、まず情報を科学的に見る目を養ってくださいと伝えたいです。そして、体験を体験として終わらすのではなく、体系化するチカラを持ってほしいですね。

宮 崎: 起業して挫折も経験し、それでも前向きに大学院で勉強し直した佐々木さんは、これからなにをしようとしてるのですか?(何を企んでるのかなぁ)

佐々木: この4月からリンクアンドコミュニケーションという会社に入ります。エビデンスレベルを高めて、管理栄養士としての価値を高めたいという考えを社長に面白いと感じていただいたんです。現状では、管理栄養士の地位は高いとは言えないし、栄養指導がほんとにお金になるのかと疑問視されている一面もあります。エビデンスに基づいた栄養指導のアプローチを世の中に広め、なんとかサービスとして確立したいですね。いろいろやった上で勉強しなおした私の経験が役立つんじゃないかと思っています。

宮 崎: 期待してます。本日は、どうもありがとうございました。

 佐々木さん1.jpg

 


 

佐々木 由樹   プロフィール

東京都出身

 

・東京都立駒場高等学校保健体育科卒業

・女子栄養大学栄養学部卒業(平成15年)

・東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻卒業(平成26年)

 

・管理栄養士取得(平成15年)

・株式会社創健ピーマップ 代表取締役 (平成177月~)

・日本フードアナリスト協会 学術委員 (平成19年~)

・女子栄養大学生涯学習認定講師 (平成19年~)

・NPO法人国連支援交流協会 執行役員 (平成20年~)

・健康運動指導士取得(平成22年)

・女子栄養大学非常勤講師(平成22年)

・株式会社リンクアンドコミュニケーション 事業開発マネジャー(平成26年~)

・東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学 客員研究員 (平成26年~)

 

◆理念

☆健康増進・医療分野で世の中の役に立つ。

⇒予防可能な病気によって、楽しいはずの人生が、楽しめなくなっている方を1人でも少なくしたい。

⇒正しい健康情報や効率の良い健康アドバイスを発信する。

⇒治療の効率を高めるための、食事・運動、生活面のサポートを行う。

◆出版

○健康ダイエット手帳 <男性版> <女性版> (しののめ出版、平成1910月)

○わかる!できる!特定保健指導-メタボ予防成功のために-

(シードプランニング、平成208月)

○メタボ脱出法―愛する人を守るために― (ソニー・マガジンズ、平成208月)

○外食ばかりしても太らない! (ソフトバンククリエイティブ、平成2012月)

○血糖値は3日で下がる!(ソフトバンククリエイティブ、平成233月)

○男おひとりさま 中食・外食でヘルシーライフ!(世界文化社、平成256月)

 

◆開発ツール

 ○健康ダイエット手帳・モバイル  http://mb-di.com/pr/

 ○食べたらネット   http://www.tabetara.net/

 ○夫婦食事管理システム(仮)

 ○携帯公式サイト「健康ダイエット手帳」(ドコモ、au、ソフトバンク)

 ○うちめしネット

◆テレビ出演

○ニチレイフーズ 「気くばりご膳」プロモーション

○通販番組 (梅津農場のプロモーション) 

○フジテレビ「神業レシピ」

○インターネットテレビ「しゃべくりエイター」 

○埼玉テレビ「ごごたま」

など

◆ラジオ出演

○文化放送 「たまなび」

J-Wave 「Good Morning東京」 

など

◆雑誌・取材

○フジサンケイビジネスアイ

○読売新聞

○週刊新潮

○東京スポーツ新聞

○医療タイムス

○郵便局フリーペーパー「モヨリノ」

○オレンジページ

○R25

○栄養と料理

○食生活

など