9月の敬老の日に合わせ、100歳以上の高齢者の数が今年8万6510人になったと、厚生労働省が発表しました。
長寿大国の日本にとって100歳を超えて生きるというのは昔と比べると珍しいことではなくなってきています。長生きが至上の価値かどうかは別の議論が必要ですが、健康で生き続けたいと願うのは決しておかしなことではないと思います。
そこでよく聞く言葉として「健康寿命」というのがあります。健康寿命とはWHOが提唱した「自立した生活ができる期間」のことです。最新の情報では日 本人の男女平均の健康寿命は74.1歳と言われています。人生100年と言っても健康寿命の平均からは25年もの乖離があります。
単に長生きするだけでなく、いかに健康寿命を伸ばし「健康を維持しながら長生きする」ことが今後の重要な課題になってきています。
前置きはさておき、今回はこの健康寿命を伸ばしながら長生きした私の祖父について少しお話したいと思います。
私の祖父は1917年(大正6年)生まれで、今年7月に105歳で永眠しました。まさに人生100年を全うした日本人の1人が私の祖父になります。
周りからよく聞かれるのが長生きの秘訣です。そこで理学療法士の立場で少しでも皆様に参考になりそうなことを祖父の生活を思い出しながらお伝えします。(エビデンスはもちろんありません!)
・早寝早起き。毎朝は5時起き、21時には就寝。
・三食米飯。朝は必ず卵かけご飯とちりめんじゃこ。
15時のおやつはコーヒー。好き嫌いなく、出されたものは残さず食べる。
お肉が好き。晩酌コップ1杯程度。
・毎日朝と夜にそれぞれ30分かけて体操。
筋トレではなく、1つ1つの関節を丁寧にゆっくり動かしながら
ストレッチをメインに行う。
・お昼ご飯と15時のおやつの間は昼寝。
・日常的に畑仕事や米作り、薪割り
(私の実家は平成になっても薪風呂でした)など身体を動かす事が多い。
・日記を付ける。
・贅沢をしない。
上記は祖父の生活のほんの一部ですが、まさに「勤倹質素」「簡素清貧」と言った言葉を地で行くような祖父でした。子供の頃は「おじいちゃんというのはそういうもの」と思っていた為、自分が歳を重ね、またこのような仕事をすることになり、改めて祖父のストイックな生き方や「足るを知る」という美徳に何かしら感銘を受けることになりました。
せっかく健康で長生きしているのに旅行や趣味に没頭することもなく、祖母と慎ましく過ごす祖父。亡くなる数年前まで大病も大怪我もなすることなく、90歳を過ぎても自転車を乗りこなしていた祖父。何を思って生きていたのか、もっと話をしていれば良かったと今は少しの後悔があります。
「健康を維持しながら長生きする」ことの過程は人それぞれです。私自身、理学療法士として身体的な健康の重要性は理解できています。それと同時に祖父を見て感じるのは価値観や幸福感など心の健康の重要性です。「平穏」であり続けることは容易いことではありませんが、100年を生き抜くことは毎日の些細な努力の積み重ねであると、祖父の生活を思い出しながら感じるに至りました。