食事療養のサポートを現場から発信

力及ばず・・・

こんにちは。めでぃはあと北摂の中村です。
いよいよ12月。今年も残すところあと1ヶ月になってしまいました。
毎年毎年思う事ですが、年々月日が経つのが早くなっている気がします。
  『光陰矢のごとし』
1日1日を無駄のないように過ごしていかなければ・・・と、年の瀬になると
いつも反省してしまいます。


さて、いつもは利用者の方の改善の話をする事が多いのですが、今回は食事もフォローも
力及ばなかった話です。

その利用者様がはーとの栄養コントロール食を使うことになられたのは今年の4月。
入院中の病院のソーシャルワーカーさんからの申し込みでスタートしました。
70代・女性・糖尿病性腎症。
退院後すぐから食事が必要だった為、初回の訪問は退院後少し落ち着かれてから・・
ということになりました。

初めてお会いした時、何とも言えない威厳があり、少し近寄りがたい印象を受けました。
私のアドバイスも「そんな事はわかっているわよ」と言った感じで聞いておられました。
多分、配食を利用されるのも初めてだったので、少し緊張し警戒のようなものも
あったのかもしれません。
ですから殆どその利用者様の本音は聞くことはなかったのですが、訪問の最後に
『でもね~、透析は嫌ね』とおっしゃったのが、唯一の本当の声として印象に残りました。

退院後から昼夕毎日食事を利用され、毎月1回フォロー訪問にも寄せて頂きました。
最初は硬かったその利用者様の表情も、慣れて来られるに従って柔和になり、
私にいろいろなお話もして下さるようになったのです。
『もう~、塩辛い物が食べたい。私は関東の出身だから、味が濃いのが好きなの。
 じゃが芋に塩辛乗せて食べたい。ポテトチップスも食べたい。』等々。
とは言え、辛いものが食べたいとおっしゃりながらも、最初の2ヶ月は頑張って食事も完食
され、血液検査の結果も入院中より良くなられて、とても順調でした。

しかし・・3ヶ月目から、訪問時に
「中村さん・・・、食事が食べられないの。半分は残してしまうわ。」と訴え出されました。
食事が残ってしまう事がとてもストレスになられたようだったので、利用者様と相談の上、
食事の頻度を夜だけに減らして様子を見ることになりました。
もちろん、昼の食事に適した内容のアドバイスを付けた事は言うまでもありません。

更に1ヵ月後、食欲不振はひどくなっていました。

これ以上食事の頻度を落とすとコントロールしきれなくなる心配があったので、
利用者様の定期受診に同行し、かかりつけのDrとお話させて頂きました。
Dr曰く、食欲不振の原因は腎機能低下による悪阻であり、むかつき止めを飲みながら
でも配食を続ける方が良いとの事でした。

Drの話を聞き、利用者様も一旦納得して食事を続けられたのですが、悪阻は段々と
酷くなっていき、ご家族が用意されたその方のお好きな物が食卓に並んでいても
嘔吐するようになられました。

今年8月、とうとう入院。

入院期間は3ヶ月におよび、11月の末、やっと退院の一報が入りました。
私の予想よりも長い入院期間だったので、退院後すぐお顔を見にご自宅を訪問させて
頂ました。
玄関で扉越しに「こんにちは~」と声をかけると「どうぞ、開いていますから」
と以前とお変わりない声。
(入院は長かったけど、なんとかお元気そうだな)とホッと胸を撫で下ろし
ドアを開けた瞬間、その方が透析療養に入られた事を覚りました。

土気色のお顔と、透析の為のシャントが入った腕。
言葉をなくす私を見て、「透析、始まっちゃったのよ・・」と力なく笑われる利用者様。

こういう時、いつも「もう少し、私に出来ることはなかったか?」と自問自答します。
この方が嫌がっておられた透析を回避する方法は本当になかったのか・・
私は医者ではないですし、そんなに大した事も出来ません。
でも、食事のコントロールで透析をせずに済んでいる方がおられるのも事実です。


もっともっと知識を磨き経験を増やして、少しでも健康を保つ手助けになれるよう
精進したいと思います。


                           はーと&はあと 管理栄養士 中村  愛

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