食事療養のサポートを現場から発信

デイサービスでの食事風景

こんにちは。
ファシリティーフードサポート事業部の柴田です。

最近、空き時間を利用して
デイサービスでの食事の様子(特に、刻み食、ペースト食を召し上がっている方)
を見学させていただいています。
目的は、嚥下・咀嚼困難な方の現状把握と課題・ニーズの発見のためです。
今日は、その時の様子を少しご紹介します。

訪問したデイサービスは左京区にある施設です。
ちょうどお昼ご飯開始の10分前から見学させていただきました。

食事の前に行うのが、嚥下体操。
早口言葉を発声したり、頬を左右交互に膨らませたり
唾液腺を刺激して、唾液の分泌をよくすることを行っていました。

その様子を見渡しているとふと目についたのが、
体操中も下を向いていて、動きを見せない方が集まっているテーブルです。

もしかして眠っておられる?
身体状態が悪く、嚥下体操を行うことができない?
認知症の方なのか?

嚥下・咀嚼困難な方の食事の様子が見られるかなと思い近づいてみました。
テーブルには5名ほどおり、
3名は自立摂取、2名は1名の介護スタッフによる食事介助によって食事されていました。

食事の形態は、常食、刻み食、ペースト食の方がおられ、
主食は米飯、全粥、ペースト粥と様々です。

まずは一番早く食べ終わったAさん。
89歳、女性、要介護4。車いす歩行の方です。
エプロンを身に着け、スプーンで食事されていました。
食事の形態は、常食、米飯です。

この方は、食事開始5分程度で食事終了。
喫食量10%程度なのに、『もういらん』と言って食事が終わってしまいました。

担当看護師に話を伺うと、
この方は、しばらく食欲がないし、もういらないと言い出したら全然食べないので、
すぐに片付けるようにしているとのこと。
以前より食欲は低下していて徐々に痩せてきているようです。
以前は栄養剤を飲んでいましたが、今は病院からの指示もなく飲んでいないご様子。
栄養状態がとても心配な方です。

わずか5分ほどで終わってしまった食事でしたが、
食器から口に運ぶ間にぽろぽろこぼしたり、
硬くて食べにくいものは、口から出してしまったり…
食事が終了すると、そのままうとうとと眠りについてしまいました。

食べこぼしが目立ったので、机と身体の位置が少し遠かったのかな?
食欲がないのは、食事が口に合わないからなのか?

看護師さんに伺っても、明確な原因がわからないとのことですが、
食べる意欲を持ってもらうことが一番大切で、
どうしたら食べてもらえるのか本当はもっと試行錯誤していけると良いのですが
デイサービスでは、そこまでできていないのが現状のようです。


Aさんとは対象的なのが、その隣にいたBさん。
年齢・介護度不明、車いすの女性。
この方は、器をもって自分の体の近くに運びながら食べていました。
食べるスピードはゆっくりではあるけれど、
50分間、ずっとスプーンを口に運び続けていました。

食欲はあるのだな、と思いながら見守っていましたが
ごちそうさまをした後の器をのぞいてみると
喫食率は、主食で60%、副菜100%、冷菜50%程度でした。

ずっと食べ物を口に運んだている様子だったのに
実際は呑み込みができていなかったのでしょうか。

ちなみに、この日のメニューは
シーフードシチュー、冬瓜の煮物、小松菜のナムル、ふりかけでした。

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シチューは食べやすいメニューなのですが、
メインの具である海老が少し大きくて食べにくかったこと、
また小松菜のナムルは、小松菜の筋が残っていて食べにくかったことが
食事における問題点だったと感じています。
Bさんを見ていると、
時間をかけても自力で全量摂取するのは難しい場合があるということ事を
目の当たりにしたように思いました。

嚥下・咀嚼困難な方、および食欲低下の方に
しっかり召し上がっていただくための食事の条件として
まず、食べていただける形態(軟らかさ、大きさ、なめらかさなど)であること
そして、食べたい!と思っていただけるもの(見た目、香り、ボリュームなど)だと思います。

もちろん、個人の嗜好の問題もありますが、
提供させていただいているメニュ―の内容やバリエーションの面において
実際に食事の現場を見ることによって、
より食べていただく方の感覚に近い食事の提供を目指していけるのではないかと感じました。

よい商品を作り上げるためにも、もっといろんな声を拾っていきたいと思いました。


はーと&はあと 管理栄養士 柴田満里子

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