嚥下・咀嚼困難な方のための食事療養のポイント
- 嚥下困難とは?
- 嚥下とは、口に入ってきた食べ物が反射によって食道に入り、胃に送り込まれるまでの一連の運動のことを言い、嚥下困難とは、食べ物の安全な送り込みのできない状態を言います。一見簡単な動作のように感じられますが、その運動は複雑に行われています。
- 原因は、老化や認知症、脳梗塞など病気の後遺症などが考えられます。
- 咀嚼困難とは?
- 咀嚼とは、口に入ってきた食べ物を噛むことにより、粉砕する動作のことを言い、咀嚼困難とは、噛むことがうまくできないことを言います。
- 原因は、筋肉の衰えや歯が抜ける、入れ歯の不適合などが考えられます。
嚥下食ピラミッド
金谷 2004
嚥下困難な方へは、飲み込む機能を補ったり、引き出したりする食事にすることが必要です。
嚥下や咀嚼の機能のレベルにより、数種類の段階の食事形態が考えられています。病院や施設などの食事基準の一つに「嚥下食ピラミッド」という指標があります。
- 嚥下困難による問題
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- 栄養摂取不良…脱水症、低栄養
- 誤嚥…呼吸器合併症(肺炎・無気肺)、窒息
- 食べる楽しみの喪失
食事療養の基本
- 1.嚥下しやすい、咀嚼しやすい食品、食形態を選ぶ。
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- 嚥下しやすい食品
- ゼリーやプリンなど、ゼリー状食品
- 絹ごし豆腐・卵豆腐など、豆腐状食品
- ミキサー食、ソフト食、ペースト食、ゼリー食など
- 嚥下サポート商品リスト参照
- 嚥下しにくい食品
- かまぼこ・こんにゃく・いかなど、弾力に富む食品
- 高野豆腐・ゆで卵・クッキー・パンなど、パサパサする食品
- 味付けのり・ウエハースなど、口腔内や咽頭に張り付きやすい食品
- 餅・団子など、粘りの強い食品
- れんこん・ごぼう・たけのこなど、硬い食品
- 酢の物・柑橘類など、酸味の強い食品
- 咀嚼しやすい食品・食形態
- 時間をかけてしっかり加熱したやわらかい食品
- きざみ食、細きざみ、粗きざみ、極きざみ食など
- 2.嚥下しやすい、咀嚼しやすい調理の工夫をする。
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加熱する |
切り方 |
煮物 和え物 |
蛇腹切り、隠し包丁 繊維を断つ切り方 |
適度に水分を加える |
油脂を加える |
オムレツ フレンチトースト |
ポテトサラダ、ねぎトロ スイートポテト |
細かく刻まない |
とろみをつける |
一口大にする |
ポタージュ、カレー シチュー、あんかけ料理 |
つなぎを入れる |
肉団子、ハンバーグ 和え物(おろし和え・ヨーグルト和え) |
- 引用・参考文献一覧
- 江頭文江:在宅生活を支える!これからの新しい嚥下食レシピ
- 金子節子ほか:嚥下食ピラミッドによる嚥下食レシピ125